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#特別編 『The 医療〜「ホリスティックドクター」と呼ばれて〜』(2)


若手鍼灸師の活躍をクローズアップする「レボLABO!」

今回は、「特別編」として、田園調布 長田整形外科の院長である長田夏哉(おさだ なつや)先生にお話を伺いました。

「生き方クリニック」とも呼ばれるこちらの整形外科。

一部ではなく全体を診て、感じて、本当の意味で「人を治す」とはどういうことなのかに向き合い続けていらっしゃる長田先生のインタビュー、(2)です!

Q5. 今取り入れていらっしゃる治療方法についてきかせてください

今のスタイルで取り組んでいる中で、たまたま、音を使ったサウンドヒーリングについて耳に入ったり、鍼灸治療ってのが実はこういうことをしているんだ、というのを知って。開業すると僕のコンセプト自体がだんだんと明確になってきたので、いろんな方が一緒にやりたいと言ってくれました。

いろいろなメニューがある中で、おすすめの札を掛けて欲しいと言われたときには、おすすめすることもあります。その上で、何を選択するかはもちろん自由ですから。ただ推しすぎてしまうと、依存性が生まれてしまうのですね。治してもらう、とか、これで治る、となってしまうと、気付きよりも治すことに気持ちが向いてしまう。わかっていながらも人間って滑稽なので、脳のサイクルに入っちゃうと、「治さなきゃ、治すんだ」になっちゃうんですね。気づく、ということを失ってしまうんです。それは時々診察で確認して、患者さんにも自分が今脳のサイクルに入ってしまっていることを認識してもらったりします。

セラピストと患者さんの間に依存関係が出来そうなときは、セラピストにも声をかけます。「ちょっと治そうとしてない?」って。関わる患者さんって、自分と関係があるんですよね。自分の内側にあるものを持っているんです。だから俯瞰できないでフィットしてしまうと、大体引き込まれるのですね。引き込んじゃうこともあります。セラピストが俯瞰できてればいいですが、俯瞰できてなくてぐぐっと入り込んじゃうときは、もたれかかり関係が生じてしまいます。そうするとセラピストも体調が悪くなることもあるし、患者さんも、気づくべきことを忘れてしまうこともあります。そうなる前に、伝えるようにしています。

医療という流れとして医師の立場でのオーダーは出しますが、治療法や施術については、基本的には何も言いません。僕としては、対等だと思っているので。患者さんからしたら、医者もセラピストも上下はありませんからね。その場での、セラピスト対患者のものがありますから、そこに僕が入ることは失礼なことだと思っています。スタッフがどんな治療法を勉強しているのかについても、特に介入していません。

辞める人が出て空きが出れば、公募をしています。面接に来た人を僕から断ったことはないですね。必要な時には必要な人が来る、という信頼感のもとでやっています。ここのスタッフは、みんなセラピストという仕事を通して、自分に気づき、自分を理解していくのですよ。そういう意味では、形は違うけれども、患者と同じプロセスで関わっているという感じなのですね。人数的な制限があるときはどうしてもこちらで選ぶことになりますが、基本的には僕の中で優劣をつけて選択したりということはないですね。自分でやっていることへの信頼がありますから。人を信頼するって、自分を信頼しているかどうかだと思うのです。自分を信頼していれば、自分に関わっている人であれば、その人を信頼するって当たり前のことなのですよね。その人を信頼しないということは、自分を信頼しないのと同じですから。自分を傷つけているだけですからね。僕はそうとらえています。

人とのかかわりで言えば、関われば関わるほど感情が揺れ動くんですよね。摩擦が起きるんです。そしてそれによって、気づくのです。僕だって、この10年間いろいろなスタッフの入れ替わりの中で、本当にたくさんの気づきがありました。例えば、とても嫌だな、と思う人がいたときに、「なんでこんなに嫌なんだろう」と考えるんです。考えてみると、その人は自分がNOだと思っていることを平気でやってのける人だったりする。うらやましいからイライラしているのですね。自分もしたいのに、できてないからうらやましくて、それがイライラを生んでいることもあるわけです。こういうことから気づかせてもらっています。

Q6. 「肉体意識」という言葉が出てきましたが、どのようなものなのでしょうか

肉体意識には、自分の信念体験のパターンが入っているのですね。同じ天気や同じ言葉でも、怒りになる人もいれば喜びになる人もいますよね。もともと、DNAには家系的なサバイバルルールが入っているのですね。だから、家系に同じようなパターンがあるのです。そうすると、自分の思考パターンや感情パターンが大体家族と同じになってくる。でもそれが、本来の自分の魂的な部分で「こう生きたい」とずれている場合が多いのです。大体は、反抗期でアップデートするのですね。そのアップデートをしそこなって、「こうあらねばいけない」という、自分らしさではなくて正しさでいると、大体ずれてくるのです。そのズレがあると、「病気」という形で、またアップデートする機会を作るのです。患者さんにはそういう説明をします。

大体妊娠半年から5歳までの間に、一回基盤のソフトウエアは出来上がると言われています。だから、5歳までの親子関係が本当は一番大きいのです。今は核家族が主ですから、母子関係がとても影響しますよね。「自分として生きる」というよりも、その正しさ、入れられたもの通り、こうしないと嫌われるとかこうしないとうまくいかないとか。両親の影響もしくは家系的な影響で、生き方のパターンが決まってきます。

皆さんそうだと思うのですが、同じような感情パターンがありますよね。こう言われたらカチンとくるなとか、こう言われたらすごく嬉しいなとか。なんでこんなに嬉しいのかなとか、それも結構大事なのですよ。褒められて嬉しいと、「認めてもらいたいのかな」とか、ありますよね。それは悪いわけじゃないのです。そういうソフトウエアが入っているなって認識できればいいのですね。ただ、同じようなパターンにハマって、結果的にあまりメリットがないことを体験しているようだと、脳はメリットだと思ってしまっているけども多分それはメリットじゃないのですね。結果として体調不良が出てしまったり。実際経験的にあんまりハッピーなことが起きてないとすると、そのパターンはずれている。そこに気づくことが大事です。溝だよってわかると溝にはまらなくなるでしょ。ただ、パターンだとわかっていてはまっている人は、自分で選択してしまっているかもしれません。こうしていないと得られない、こうしていないと危ない、とか、こうしないと特をしない、という意識で選択してしまっている。でも、「この選択にメリットはないから、変えてこう」と思えると、同じような考え方や思考パターンから、ちょっと、外れることができるのです。その段階を、をサポートしているんですね。

問診の中でも、患者さんのお話はころころ変わります。ゆらぐのですよ。そのゆらぎを、ご本人に自覚してもらう。あとはご自分で、そのゆらぎの中で、パターンや感情を認識してもらう。そこをハグするくらいの感覚で受容してあげると、自然に、本来の自分らしく、だんだん変わってくるのです。アップデートされてくるので、気づくと、言われたことをあまり気にしなくなるとか、そういう形で変化が出てきます。「歩く歩道」って僕はよく言うのですが、あまり無理して抵抗して、治そう、変えよう、手放そう、と思うと、逆走しちゃうのですね。受容して俯瞰できると、後で見ると変わってくることがよくあるのですね。

そういった気づきを、エネルギー体の診察として診療の中でやっています。あとは肉体の診察で、今こういう反応であなたにメッセージを送っていますよ、というお話をするのですね。

▶待合室には、「長田図書館」。本は借りて帰ることができる。

Q7. 自分と向き合うことに抵抗される方もいらっしゃいますか

嫌がる方もいらっしゃいます。と言うか大体嫌がりますよね。長年、「そういうもんじゃない」と思ってきた状況がありますから。

基本的には、場のエネルギーフィールドがその方を変えてくれます。変えようと思う気持ちが全く無いというと嘘になりますが、その方が今どういう状態なのかはわかるので。「抵抗していますね」ってストレートにお伝えすることもありますよ。「嫌だよね、こういうこと言われるのって望んでないですよね」って。でも、患者が本当に望んでいるのは、多分そこなんですよね。僕は、僕の意見を言っているのではないのです。患者さんはどう思っているのか、「患者さんの体の声」のスピーカー役をしているだけなのです。聞きたくないから、いつも脳でブロックしているだけなのですね。普段無視している「自分の声」を僕が代弁しているから、聞きたくないのです。

そこで受け取れる方もいますし、その場でうけ取れない方もいます。本来は自分で体の声は聞けますから、だんだんと皆さん声の聞き方を習得されていきます。問診で状況を確認して、うまく聞けなくなっているときには、自分の声を聞くことをサポートします。「先生に言われるとわかるんだけど、家に帰ると忘れちゃうんだよな〜」なんてお話してくださる方もいます。

そこにセラピストの肉体的な介入があって、さらに脳が、自分の声を聞きやすくなるのですね。例えば、イライラしていたこともお風呂に入ったら「まあいっか」って、気持ちになったりするじゃないですか。それと同じように、緊張した状態からほぐれることで自律神経が整ってくると、自分をブロックしているものが変わりやすくなってくるのです。だから、体に対するセラピーってとても大切だと思っています。その体に合わせた対応をすることによって、自分の中で逃れられなかった感情的なパターンなども、本来の自分に寄り添った流れができやすくなります。本当に素直に、今の自分の気持ちを感じることができるようになる。抵抗しながら涙を流す方もいます。 変えよう変えようと思うと逆効果で、スポイトのように押せば吸ってしまいます。自分の体にも影響してしまうし、患者さんの抵抗も強くしてしまう。ただ、現状で感じていることは、言い方も考えながら、伝えていきます。「私が感じていることだから、受け取れることだけ受け取ってください」とお伝えすることもありますし。人によっては、読書セラピーといって、ご自分で本を読んでもらうこともあります。 患者さんによっては、「男が言った」「医者が言った」というブロックが入ってしまうことがあるんですね。僕が言うことでブロックさせてしまう方や、この人は読んでみたらどうかな、と思う方に、僕が勧めたり、受付で勧めてもらったりしています。本を読んで、なんとなく自分が感じたことは否定できないですよね。

Q8. 読書セラピーとは、どのようなものなのでしょうか

この人には読んでもらうのがいいかなと僕が感じた人や、遠方でなかなかいらっしゃれない方などにお勧めしています。混んでいるときは待合で1時間ほどお待ちいただくこともあるのですが、診察室に入ってきた患者さんが「先生、腰の痛みで来たんだけど、この本読んでいたら、これ読んでから診てもらったほうが良いような気がしてきたから、悪いけど今日は帰っていいかな」なんてこともありました。正直、僕が何かした、というのは重要ではなくて、患者さんがいい方法をご自分で見つけてくれることが大事ですから。院内の本は貸出もしているので、読みたい方には持って帰っていただきます。郵送でお手紙をつけて返してくださる方もいれば、ポストや受付に返しに来てくださる方もいます。 待っている時間のあの空間にも、実はいろいろと工夫はしているのです。音は自然音を流していて、本も置いていますから、そこで自律神経を調整できることでいろいろな気づきにつながることもあります。僕とあって僕が何かする、ということがなくても、そうやって患者さんは変わっていくのです。医者が何かをしているのではなくて、僕を使って、場を使って、患者さんがそこで自ら気づくために選択して来ているわけですから。やる気満々で来ているのですよね。誰も呼びつけているわけじゃないですから。自分で選択して自分で歩んでいるってことが、何よりも自分に対する肯定感になります。ここに来ることで、自分で病気になって、自分で痛みを出しているという感覚になる。本当にそうですから。そうするともっと気づきを得よう、という気になるのですよね。

→3を読む(8月下旬公開予定)

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【編集後記】

自分の中にあるソフトウェアをアップデートする・・・

誰にでも必ず、潜在的に存在するソフトウェアがあって、

そのソフトウェアと”自分自身”との間で、葛藤し、

そのズレを修正しようという力が作動する・・・。

私自身、カラダにズレを教えてもらってきたのだなということを

改めて考えるきっかけとなりました。

最終回の(3)では、先生ご自身がどのようにご自身と向き合っているのか、

自分と向き合うとはどういうことなのか、等について、お話いただいています。

(3)は8月下旬公開予定です!

お楽しみに!!

【プロフィール】

長田夏哉 おさだなつや 1969年3月22日山梨県に生まれる。活発な小学生時代に突然腎臓病となり入院・院内学級通学歴あり、その後も運動制限のため勉学に励む学生時代をおくる。日本医科大学卒業後、慶應義塾大学整形外科教室入局し整形外科専門医の研鑽を積む。主流医学に没頭する中、自然な流れで全体性の視点を育みボデイ・マインド・スピリット視点のトータルヘルスケアについても研鑽を深める。平成17年田園調布長田整形外科を開院、独自の直観医療で多くの方が「生き方」のアドバイスに訪れる。 2012年 (株)GREEN EARTHを立ち上げ、トータルヘルスケア・氣付き・教育・啓蒙の講演を国内各地で開催。 日本整形外科学会専門医。日本整形外科学会認定スポーツ医。日本体育協会公認スポーツドクター。

著書

「体に語りかけると病気は治る」サンマーク出版 「後悔ゼロでいきるために、いまのうちやっとくこと」大和書房 「治癒を引き出すエネルギーの秘密がわかった」ヒカルランド

田園調布長田整形外科  HP http://www.osada-seikei.com/ (株)GREEN EARTH   HP http://greenearth2012.jimdo.com/         Blog http://ameblo.jp/greenearth2012/


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