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#6. つまり究極的に言うと、「楽しいかどうか」ということ(3)

若手鍼灸師の活躍をクローズアップする「レボLABO!」 第六弾は、教員として鍼灸師の養成にたずさわりながら、NPO法人の立ち上げ、Facebookグループ「鍼灸×海外」の主催などなど・・・業界内外で多様な活動をされている、山川義人(やまかわ よしと)さんにお話を伺いました!

白石: 可能性、という点については、どうでしょうか。

山川: 可能性について、って聞かれたら、可能性しかないじゃん、って思うね。

白石: 業界の未来についてはいろいろな意見がありますが、先生がそう考えるのはなぜですか?

山川: 陰陽あってさ、陰陽二元論的には、バランスなわけだよね。少ないときがあれば、多いときもあるわけだよね。つまり、ある静止的なポイントでみるんじゃなくて、時間の動的な観点でみるべきだよね。

「鍼灸の可能性は」ってなったときに、静的にみるのと、動的にみるのでは、全然違うんだよね。静的にみると、苦しい現状だけでの判断になるから、可能性ってすごく少ないような感じに見えるかもしれないけど、時間の流れでみると、逆にそれって、可能性しかないってみることができるんだよね。

結構脱サラ組てってのはそういう思考があって、なんでかっていうと、鍼灸業界入った時点で、受療率7%です、みたいなことを言われて入って。

そこはチャンスしかないねって見方で入っていてる人が脱サラ組には多いから、彼らからすると、チャンスしかないじゃんっていう見方なんじゃないかな。

でも、上の世代は、鍼灸に対する需要と供給がある程度マッチしていた時代からそれが押し込められた時代を生きてきてる。非常に圧迫された20年とか30年を過ごしてきたから、暗い感じになると思うよ。

白石: なるほど、そういう視点の違いがあるんですね。

山川: 可能性しかないと思います、みなさんはどうですか?って話だよね。そこを、可能にしていきましょうよっていう、ことだからさ。

仮に、1%しか可能性がないと思ってる人達がいるなら、その可能性を一緒に広げましょうよって感じだね。自分が可能性しかないっていう点ばかり声高に言うと、それはまたちょっと違ってきちゃうんだよね。

可能性しかないよねって、走れる人たちはいいけど、そのエネルギーが強すぎると置いてかれちゃう子たちがいるでしょ。そういう置いてかれちゃう子たちとの間を埋めてあげるのが中間層の役目だと思うから。

可能性がないとか、暗いって思ってる人がいるなら、それを一緒に明るい未来にしていくためには、可能性を生み出していくには、どうしていけばいいか一緒に考えようって感じ。

白石: 業界がまとまって、活動していくべきなんでしょうか。

山川: 組織化とか政治的な活動とかって話題がよく出るじゃん。確かにね、とは思うけど、でもそれ50年も100年もおんなじ話してるんでしょって。もうよくない?って、一方で思うわけね。

確かに流派の人たちの話を聞くと、これ多分無理なんだろうなってどっかで感じる部分もあるし。

そういう中で、最近思う一番大事なことは、これから人間に必要とされるのはどんな力なのかなってこと。AIがこれから世の中にバンバン出て、別にものを覚えなくてもいいですみたいな、なんならだいたいのことはコンピュータがやってくれます、みたいなさ。

そういう社会において、人間に必要とされる力はどんな力なのかと。

そうであっても、コミュニケーション力は、人である以上必要だと。社会的な動物である以上はね。だからコミュニケーション力はやっぱり必要であると。もう一つは、モチベーションだと。お金も体力もテクノロジーも、いろんなものが揃っても、そもそもモチベーションが欠落してたら、何にもない。動機にならないと。

で、そのモチベーションが最も高いのは、どの世代なんだろうねってみたときに、ある評論家は、0歳児に近づけば近づくほどモチベーションは高くなる、と。生きるモチベーションが高い。

でも、それをね、教育、得に国家が提供する教育は、それを画一化することで管理しやすくするんだよね。みんなのいいところがスポイル・搾取されちゃうことで、「みんな四角くなったねー、はい社会に出荷しましょう」みたいな。

ちょっとした違いはあっても、基本的には一緒なのよ。そういうものに対して自分はニーチェ的な批判をしてきてるわけだけどね。

だから、モチベーションを養成するためには、「スポイルをしない」というのが大事だと思っていて。だから若い子たちやみんなと一緒にやるときも、自由にやらせるというのが大事だな、と思うわけね。

よって、業界がもっと、ということについては、偶発的なゲリラ活動みたいなものがいっぱい起きることが、業界を多様化し、社会に価値を提供できると自分は思ってるわけね、どっちかというと。

集合して穴をあけるというよりは、ポツポツとちっちゃなものがいっぱい起きて、なんかやってるみたいよ、というアプローチなのかなと。だから、だめって言われない限りやれって思うわけ。法に違反してない限りやれ、って思うし。

白石: なるほど。すごく新鮮なご意見という感じがします。

山川: そもそも、みんなでなにかやるのが嫌だから鍼灸師になってるわけだよね。その前提を、みんなちゃんと考えようよって思うわけね。

独立開業件、個人事業主、批判的寛容、それは「みんなばらばらで行こうよ」っていうルールだから。

なのに、ある時だけ「一緒になにかしようよ」ってやっぱ無理じゃんって思うわけ。その発想(みんなでやろうよ)は、漫画のワンピースで例えると、前近代的なリーダー組織論の「白ひげ」なんだよね。非常に父権主義的で、一人が強固なリーダーシップを発揮しながら、それに対してまとまりって、成しえていく、っていうタイプ。

で、最近の組織論とかグループ運営っていうのは、「ルフィ」型だって言われてる。まさしく「はりレボ」の活動とかも自分はルフィ型だってすごい思ってるんだけど。自分たちがやりたいことがある、世界一のコックさんになりたい、剣術じゃ誰にも負けねえ、みたいな。それぞれがやりたいことがあって、その向いたベクトルがたまたま一致しているので、一緒にいます、みたいな。

で、それぞれの、個人の力が発揮されることが、みんなの利益につながっています。だから一緒にいるんです。目的が違えば、抜ければいい。けども、共通の目的があるから一緒にいる、っていうだけじゃん。もちろん、お互いに対する尊敬や信頼があって結ばれてはいるけども、本質的には「自分はどうありたいか」がそれぞれあって、なんだよね。

そこが、「白ひげ」とは違うわけ。父権主義的ってのはやっぱりね、昭和的リーダー論なんですよ。だから、「業界ひとつにしなきゃ」みたいなのはね、上の世代の人たちはそう言うんだと思うよ。でもみんな白髭になりたがったら、おいおいおい、まとまんねぇ、みたいになるって話だと思ってるんだよね。

でも、君たちの世代はもうちょっと違うから。みんなバラバラでいいけど、それぞれがバラバラなりに、ちゃんと力をつけましょうってことだと思うよ。で、ベクトルが同じ方向を向いたときに一緒にやればいいしね。

WFAS(世界鍼灸学会連合会学術大会)はいい例だったと思うよ。WFASっていう対外的な黒船がね、外国人をもてなせ、日本の鍼灸をまとめなきゃいけない、っていう刺激があるから、ある種ある程度のまとまり、日本式鍼灸とかっていうので、まとまれるんだと思う。

世界平和もそうだと思うんだよね。世界中から戦争をなくすためには、宇宙人が攻めてくるのが一番だと思う。鍼灸業界においても、それぞれが、それぞれの、で、自分はいいと思ってるんだよね。まとまんないよ。

ただ、今、「互いに対する尊敬」っていうのが、弱いかなと思うんだよね。「批判的寛容」ってのは、無責任っていうこととは違うからね。もっとちゃんとディスカッションしなきゃいけない。あっちはあっち、こっちはこっち、みたいな線引きして、交わらないっていう、寛容性じゃなくてね。

それだとちょっと違うと思うんだよね。他人ごとになってるから、みんな。だからもっとね、ガンガンやったらいいんですよ。意見が同じ人だけじゃなくて、反対勢力みたいな人を入れてちゃんとディスカッションして、前向きの、生産的なものに変えていかなきゃいけないんじゃないかなって。オーガナイザーの役目とかファシリテータの役目って本当はそういうことなんだよね。

それが、自分が思う、対話、であり、ディスカッション、っていうことだと思ってるから。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~「山川 義人さんってどんな人?」③

文化系風貌の熱い体育会系ソウルを持った哲学する鍼灸師。

人生とは人間とは医療とは鍼灸とは何か。

善きことを目的とした最適のソリューションを提供すべく

様々な世界とのハブとなり鍼灸の可能性を魅せてくれる、そんな人!

(萱間洋平さん)

※萱間さんのインタビュー記事はこちら

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白石: 互いに尊敬を持って、ディスカッションして、高めあえる関係が大切なんですね。

最期に、これから鍼灸師になる学生へメッセージをお願いします。

山川: 一番は、「やりたいようにやろう」なんだけど、でも、やりたいことが見つかんないんですって人が多いわけだよ、この世の中。鍼灸師だけに限らずね。

表裏一体な、「やりたくないことをやるな」っていうのがあって。

やりたいことが見つかる子はそれをやればいいけど、見つからない子は、やりたくないことをやめなさいっていうのが、1つかな。

もう一つは、鍼灸師になろうと思うなら、鍼灸以外の人と、コミュニケーションしなさい、ということかな。

日本のこと考えたかったらね、日本にいちゃダメなんですよ、外国に行かないと日本の事はわかんないから。っていうことと一緒で、鍼灸の事を知りたかったら、鍼灸以外のことを学びなさいって感じかな。

比較対象があってこそ、己を形作れて、自我が確立できる。どんな形をしてるのかがわかる。看護と比べて、PT(理学療法士)と比べて、っていう中で、鍼灸のカタチってのがわかってくると思うから、学生時代は鍼灸以外のことを勉強した方が良いと思うよ。

鍼灸以外の視点をもっと知ってた方がいいし。勉強会も、鍼灸の勉強会じゃない勉強会にいっぱい出た方がいいよね。政治経済とかITとかいろいろあるから。

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【編集後記】

約2時間に渡り、私たちの質問にとても熱い気持ちで答えてくださった山川さん。 本編にもあるように、山川さんは「熱血!!」という、印象ではありません。

しかし、目には見えない、奥深いところで、じりじりと炎を燃やし続けている・・・

そんなクールで熱いお人柄が、たくさんの人を惹きつけているのでしょう。

まだまだ聞きたりない!とお思いのあなた、山川さんに直接、伺ってみてくださいね!


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