#特別編 『The 医療〜「ホリスティックドクター」と呼ばれて〜』(1)
若手鍼灸師の活躍をクローズアップする「レボLABO!」
今回は、「特別編」として、田園調布 長田整形外科の院長である長田夏哉(おさだ なつや)先生にお話を伺いました。
「生き方クリニック」とも呼ばれるこちらの整形外科。
一部ではなく全体を診て、感じて、本当の意味で「人を治す」とはどういうことなのかに向き合い続けていらっしゃる長田先生のインタビュー、第一弾です!
Q1. まずは、先生の治療スタイルをお聞かせいただきたいと思います。
僕は医師として、患者さんには「肉体には原因はない」とお話しています。
原因は肉体にはありません。結果が肉体に現れているのです。結果として腰痛として出る人もいれば、骨折する人も、がんになる人もいます。ですから、結果に対する治療をしながら、原因についてもアプローチしていきます。原因はエネルギー体にあります。“人は肉体以上の存在”なのです。
この原因・結果、エネルギー体・肉体の両方を診ること、つまり本質・現象、両方をつまり全体を捉えることこそが“私のスタイル”と言うか、これが“医療”のスタンダードと考え24年間医師をしてきました。
“結果・肉体・現象”だけに対応しているの“社会性としての医療”ではありますが、人が医療の現場で本当に求めている“医療”ではないですよね。ただ長年の医療構造のなかで、患者さん自身もそのことに気づかずに“社会性の医療”の患者役になりきってしまっているケースが多いです。
もぐら叩きゲームで例えてみます。ゲームセンターにあるもぐら叩きゲームと少し違うのは、もぐらを叩いて抑えるだけではゲーム終わらない、機械自体が壊れるまでもぐらが出続けるゲームなのです。
だからゲーム機が壊れる前に、もぐらを抑えながら、ゲームのスイッチを見つけ、スイッチを切る、というイメージですね。スイッチを切らないと、抑えているだけではまたもぐらは出てきますから。だんだん大きなもぐらが、だんだんスピードアップしてね。
ただ、人間は滑稽なもので、何となく抑えてもぐらが出てこなくなるとゲームは終わった、と思ってしまうのですよね。そして急にもぐらが出てきて、また慌ててまた叩く、の繰り返しをします。また出てきても抑えるハンマーがあればいいですが、2017年にはまだそのもぐらを叩き抑えるハンマーがない場合もありますし、色々なところから出てきて間に合わないこともあります。肉体は有限的ですからね。
だから抑えるハンマーないような大きなもぐらが出る前に、できるだけ自分のスイッチに気づいてほしい、そう思っています。
そのことから私は整形外科を選択したのではないかな、と最近になって納得しました。肩こり、腰痛、捻挫、骨折などのもぐらでスイッチに気づくことができれば、多くの方が急なゲームオーバーを迎えなくなります。
エネルギー体に何が影響してバランスを崩しているのか、どんな「満たされていないこと」があるのか、感情を抑圧したり抗っていないか、そこに気づきさえあれば、そんな自分を受容出来さえすればバランスが取れ、満たされていきます。
肉体に現れた結果に対しては、レントゲンやMRIなどの画像検査や血液検査などを行い、結果としてその方の現在の状況をご説明します。しっかり“リアルな今の自分”をと捉え、“自分”を認めることが大切なんです。そして対処できる治療をご説明します。
ただ、抑える力が強すぎると、他のものまで壊れてしまうということもありますよね。ですから状態に合わせて、ハンマーの使い方はいろいろとご提案します。スイッチを切る方向性でのアプローチのみで自然に治まってくるケースもあります。
提案をしたら、あとは患者さんの選択です。お一人お一人が納得して選択できているかどうかは確認しています。
今まで患者さんと向き合ってきて、「本当に患者さんが求めているものに対応する」というのが医師の仕事だとしたら、それはもっと、言葉に出ていないところにあると感じています。言葉に出るものだけにアプローチしていても、本当の満足度は得られない。夫婦関係が乱れているとか、会社に行きたくないとか。体が良くなりたい、痛みを取りたいというのもありますけど、本当に求めているのはもっと別のところにもあるのです。
特に、患者さんがご自身でそこに気づいたときにこそ、痛みがなくなるケースが多いんです。もちろん、程よくお薬を使って抑えつつ自分の信念体験の癖やパターンに気づいていくことで、痛みが必要ない状態になっていくこともあります。
そういったプロセスをサポートする意味で、リハビリテーションとしてPT(理学療法士)が入ったり、サウンドヒーリングだったり鍼灸であったりといったセラピストに担当してもらいます。「こんなメニューがありますよ」ってお見せして、患者さんがセレクトするのを僕らは待っているのです。
※サウンドヒーリングとは音のエネルギーを用いる手法。
Q2. 今の治療スタイルにはどのようにたどり着いたのですか?
大学を卒業して、大学病院で医師として働いていたのですが。そこで患者と向き合ったときに、「自分の頭のなかに入れ込んだ知識とか経験が、全く役に立たない」という感覚に襲われたのです。
この、人間対人間の、一対一のエネルギーフィールドの中で、この人が求めているものは、僕が頭で描いていたものと全然違う。正直に言うと、「治りたい」という思いではないものを感じました。僕が学んできた、治す・物理的に変える、という知識では、太刀打ち出来ない感覚がありました。
しばらくは自分の経験不足と知識不足だと思って、どちらかというとストイックに、現代医療をやっていました。時間が足りなかったので、毎朝4時に起きて勉強して、5時には病院について、6時には目を覚ます患者さんから声を掛けて。そんな生活を勤務医のときはずっとしていました。自分の経験と知識を補うために、こうしていかないと太刀打ちできないと思いました。
でも、いくらやっても、僕の感覚は答えになっていかなった。そんな中開業することになり、勤務医のときとは違って、話している中で感じていることを素直に出せるようになったときに、今のスタイルになっていきました。
※エネルギーフィールド:オーラとも呼ばれる
▶熱弁をふるってくださった長田先生
Q3. どのような思いで患者と向き合っていらっしゃいますか?
今もそうなのですけど、僕は「治したい」と思ったことはないんですよ。「治さなきゃいけない」という思いはありました。医者として、社会性の中で、治さなければいけないと。
この思いには、僕の肉体意識の中にこびりついた承認欲求があるからですね。幼少期から母親から条件付きの愛をもらった感覚がありました。テストで良い点を取ると、すごく機嫌のいい母親でした。
子供ながらに「こうしないと愛されない」というのをどんどん習得しました。何を求められているのかをどんどん自分の中で察して、対応するという行動をとっていました。そうすると社会的には、「気が回る」とか「察する力がある」とか「対応能力がある」とか「まじめにやってる」という風に捉えられるのですよね。
医者になったときに僕は、「治さなきゃいけない」と思うばっかりで「治してあげたい」とは思えませんでした。そんな自分は絶対医者に向いてない、と思っていました。治してあげたいと思えない、いわゆる人道的な思いがないって。
今でも、「治さなきゃいけない」という気持ちでいる自分に、はっと気づく時が、ないとは言えないです。肉体意識にある承認欲求や、社会的に医者として治さなきゃいけない、という感覚が出てくることはあります。
ただ、本来の自分が求めているものは、そうじゃないのですよね。患者さんと向き合った時、その方が何かに気づき、自分としてエンパワーメントする感じ、その方がトータル的な存在として光輝いて、自分の道を歩んだ時に、僕はすごく、喜びを感じるんです。
そしてその時に、肉体の問題も結果的に治っていることが多いのですよね。完治しない時もありますけど、でも、すごくその人は幸せなのが伝わってくるのです。
※エンパワーメント:個人や集団が自らの生活への統御感を獲得し、組織的・社会的・構造に外郭的な影響を与えるようになること
Q4. 実際にどのように変化していくのでしょうか
例えば、膝の痛みで来院された患者さんが、診察を通して自分と向き合うことで「気づき」を得たことによって、家族関係が良好になっていく。膝の痛みは100%取れたわけじゃなくても、本人の中で「いいよ、またリハビリ来るから!」というふうに、変化していく。
ある意味「膝が痛い」ということよりも、その裏側にある本当の自分の感情、例えば親子関係に何か満たされないものがあったと気づいたときに、それが満たされることで、膝の痛みが「まぁ、あるけどね」みたいな感覚になる。
「気づき」があったことでエンパワーメントされていく姿を見た時に、「それでいいんじゃないかな」と思ったんですよ。
向き合い続けていくうちに、体に出る症状は「自分として生きる」ということからズレがあるときのサインである、と感じるようになりました。
それが痛みなどの症状だけである時もあれば、器質的な疾患があって病名がつく、医者のカタログに載っているものになっている場合もあります。そうすると「病気」になるし、そうじゃないと「精神的な問題」とか「歳のせい」などと言われるのですね。
「精神的な問題ですか」とおっしゃる方も多いのですが、精神的な問題と肉体的な問題、心因性とか器質的な問題とか、非特異的と特異的という感覚は僕にはないのです。ただ、画像的に、2017年の検査では所見がないというだけで、エネルギー的なアンバランスというのは当然あるのですよね。細胞レベルのいろいろな変化が起きていて、2017年の検査で異常が見つかれば病気、となっているだけなのですよ。
検査結果に出ていない、所見も見られないけど、患者自体のバランスの乱れというのはあるのですよね。それはホメオスタシスっていう、ホルモン系内分泌系とか、あるいは神経系とか、免疫系に乱れが生じていて、数値に出るものもあれば、まだ出てはいないけれども、それが体の反応や不具合として出ている。それが感情として出る場合もありますし。
患者さんにはそのようにお伝えしています。
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【プロフィール】
長田夏哉 おさだなつや 1969年3月22日山梨県に生まれる。活発な小学生時代に突然腎臓病となり入院・院内学級通学歴あり、その後も運動制限のため勉学に励む学生時代をおくる。日本医科大学卒業後、慶應義塾大学整形外科教室入局し整形外科専門医の研鑽を積む。主流医学に没頭する中、自然な流れで全体性の視点を育みボデイ・マインド・スピリット視点のトータルヘルスケアについても研鑽を深める。平成17年田園調布長田整形外科を開院、独自の直観医療で多くの方が「生き方」のアドバイスに訪れる。 2012年 (株)GREEN EARTHを立ち上げ、トータルヘルスケア・氣付き・教育・啓蒙の講演を国内各地で開催。 日本整形外科学会専門医。日本整形外科学会認定スポーツ医。日本体育協会公認スポーツドクター。
著書
「体に語りかけると病気は治る」サンマーク出版 「後悔ゼロでいきるために、いまのうちやっとくこと」大和書房 「治癒を引き出すエネルギーの秘密がわかった」ヒカルランド
田園調布長田整形外科 HP http://www.osada-seikei.com/ (株)GREEN EARTH HP http://greenearth2012.jimdo.com/ Blog http://ameblo.jp/greenearth2012/
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